ニーズが高まっている「漢方」
漢方とは
漢方は植物や鉱物など自然界にある生薬を組み合わせて作られる薬です。漢方の歴史は長く、どの生薬を組み合わせればどのような効果があるのか、あるいは有害な組み合わせはどれかなどが明らかになっており、漢方処方として体系化されています。現在の漢方製剤においても、自然界にあるものを利用して作られる薬という根本的な概念は変わりません。最新技術を取り入れながらも、生薬としての薬効を持つ漢方が開発されています。また、服用・保存しやすい工夫も施されています。医療機関で処方される漢方は「医療用漢方製剤」と呼ばれ、健康保険が適用されます。
生薬について
生薬とは、植物や鉱物、あるいは菌類や昆虫などを、保存や運搬をする際に便利な形に加工したものです。それらを組み合わせ、薬として治療に用いるものが漢方です。生薬の複合効果によって身体の不調を治療していきます。植物と一口にいっても、葉や根、茎、花、枝など、植物の種類によって使われる部位は異なります。例えば葛根湯は、その名の通り葛の根を用いた漢方です。また、「茯苓(ぶくりょう)」のようにキノコ類を生薬として使用する場合もあります。植物以外だと、鉱物では硫酸カルシウムを含む「石膏」、動物由来では牡蠣の貝殻を原料とした「牡蛎(ぼれい)」などがあります。
漢方の定義
漢方と民間薬は別物です。例えば、センブリなどの1種類の薬草から作られたものは民間薬に分類されます。家庭薬として軽いケガや病気に用いられるものであり、医学的な背景はありません。漢方は原則として「2種類以上の生薬を組み合わせたもの」であり、漢方医学に基づいて条件が細かく設定されています。民間薬とは違い、治療効果が医学的に認められている薬です。また、栄養補助を目的としているサプリメントとも異なります。サプリメントはあくまで「食品」に分類されます。
漢方の処方名は、「○○湯」「○○散」「○○丸」などとなっています。これは、漢方の作り方に由来しています。「○○湯」は生薬を煎じた薬で、「○○飲」と呼ばれることもあります。「○○散」は生薬を細かく刻んで粉末にしたもので、水では抽出できない成分を持つ生薬を組み合わせて作られます。「○○丸」はいわゆる丸薬で、散剤を固めて粒にしたものです。
漢方にも副作用はある
「漢方は身体にやさしい」というイメージを持つ人は多いかと思います。中には、「副作用がないから安心」と思っている人もいるかもしれません。しかし、漢方にも副作用は存在します。アレルギー反応を起こす成分も含まれているので、使用する場合は必ず成分を確認しましょう。
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